東京築地。
数年前までは日本の台所として賑わっていた魚市場の街。
市場は豊洲に移転しましたが場外市場は未だに健在です。
築地場外市場は日本でも有数な寿し屋激戦区。
そんな築地にあって、良心的な価格で江戸前寿司が頂けると人気のお寿司屋さんがあります。
「築地すし大」さん。
通常は2時間待ちの日もあるという超人気店です。
飲食店紹介サイトでは『築地で人気のお寿司屋ベスト3』に入っています。
今回はすし大さんに伺い、その人気の秘密、特に「激戦区で名を馳せる」ためにどんな取り組みをしているのか?ということを意識して体験してきました。
食レポ
こんにちは!繁盛店アドバイザーのテンシュです。
ライバルの多い業態や地域で知名度を上げるためにはお客さんの満足度を上げること。
遠回りのようですが、これが強力。この記事でそのヒントを掴んで下さい!
先ずは食レポ、すし大さんに侵入です!
築地場外の大通り沿い、こじんまりとした一軒家。
それでは中に入ります。
メニューは4種類
メニュー
【おまかせ】3,850円握り10貫、巻物、お好きなもの1貫
【勝どき】3,080円握り9貫、巻物
【あやめ】2,200円握り8貫、巻物
【築地】1,650円握り7貫、巻物
今回は【お任せ3,850円】を注文
注文後すぐに玉子焼き
次にヒラメがでてきました。
巻物以外は煮切り醤油か塩で味付けされていて、しょう油を付けずにそのまま食べられるスタイルです。
次に「北海道甘海老」が提供されたのですが写真を撮り忘れました。
続いて「カツオ」。
板前さんの声がよく聞き取れなかったのですが多分千葉県勝浦のような気がします。
次から次へとテンポよく出てきます。
ここでバフンウニかイクラを選びます。
イクラをチョイス
ここで巻物2種
お新香が来て
そして最後は
板さん:「お好きなネタをおひとつお選び下さい!」と。
「何にしようかな?」
キョロ キョロ 店内を見渡します。
よ~し、これにしよう、「アワビ!」
隣のお客さんは「ノドグロ柚子塩わさび」を注文していました。
総評
いや~、さすが人気店です。
ネタはどれも新鮮で、それぞれに一手間かけられているのが素晴らしいです。
シャリが少なめで食べやすいので女性に喜ばれます。
さらに料理の提供がとてもスピーディー。
滞在時間が短く済ませられるので、観光で来ている人は他にも回れるのでありがたいですね。
量はもう一貫、二貫食べたいなぁという腹8部。
このくらいが一番良い印象が残りますね。
すし大さんの戦略
ということで、すし大さんの料理を見てみました。
次は、すし大さんがどのような戦略を立てているのかを以下の視点から詳しく考えてみます。
・ターゲット設定
・新規集客
・単価アップ
・再来店
ターゲットは観光客と地元のお客さん
築地のお寿司屋なので、デートや接待での利用動機もみこまれますが、すし大さんのターゲットは観光客と地元客に絞っていると思われます。その理由は
・安い料金設定
・スピーディーな料理提供
・賑ぎやかな店内
ターゲットを絞るとやるべき事が明確になり販促活動が統一されてきます
ちなみに、すし大さんの立地は、
・銀座から近く高単価のお客さんを獲得できる
・観光客が来る
・高層マンションが隣接している
と、どんなお客さんも狙える場所にあります。
立地が良くてもターゲットを絞る
新規集客はしない
すし大さんはネットでの口コミ評価が非常に高いので、新規集客に広告を出したりSNS発信をする必要が無いと思われます。
実際ホームページは存在しますが、何かSNSで発信しているというのは見つかりませんでした。
この点は人気店の強みなのですが、こういった場合「なぜこのお店はネットの評価が高いのか?」ということを考えて、そこを真似するという方が賢いのかなと思います。※その理由は下を参照
人気店がなぜ人気店になりえたのかを調べて、そこを真似てみる
単価アップはお酒と追加注文、腹8部
すし大さんは他のお寿司屋に比べるとかなり安い値段設定になっています。
そのため単価を上げる事が運営を続ける上でのポイント。
そのため、次の2つを意図的にやっています。
・お酒を注文してもらう
・追加注文してもらう
どのようにやっているのかをそれぞれ見てみます。
お酒の注文をもらうための工夫
お酒を注文してもらうためにメニューの見せ方を工夫していました。
メニューが裏表になっていて最初にドリンクメニューを見せて注文をもらったら、ひっくり返して料理(コース)メニューを見せるというやり方です。
こうすると嫌味なくお酒やドリンクをおすすめできることになります。
あらかじめテーブルにメニューを置いておくお店は、一番上にドリンクメニューを置くと良いですね。
追加注文をもらう方法
次に追加注文をもらうための方法です。
店の店内写真を見ていただくとわかるように、すし大さんの店内はポップだらけ。
カウンターのお寿司屋でこれだけポップがたくさん貼ってあるお店は珍しいのではないでしょうか。
腹8部で終わらす
すし大さんの料理(コース)は男性では腹8部か腹6部くらいかと思います。
実際僕も食べ終わった後、まだラーメン1杯行けるな、と思いました。
この絶妙な量が追加注文させる技なんですね。
「まだ食べたい!」という状態でポップに目が行き、追加注文する。
・飲み物の注文をもらうためにドリンクメニューを最初に見せる
・追加注文をもらうためにポップを貼る
・料理(コースも単品も)の量は腹8部に設定する
再来店を促す満足度と最後のサプライズ
最後に、一度来たお客さんにまた来てもらう(再来店)ためのやり方です。
再来店のやり方としては一般的に
・次回のサービス券を渡す
・ポイントカード
・アンケート
・会員登録
など色々ありますがすし大さんはどれもやっておりません。
すし大さんがやっいているのは次の事です。
・腹8部で帰ってもらう
・最後にサプライズ(驚き)が待っている
腹8部で帰ってもらう
上記の「単価アップ」の項で書かせていただきましたが、再来店にも腹8部がとても重要。
「来てくれたお客さんに、お腹いっぱい食べてもらい満足して帰ってもらいたい。」
この考えとは真逆のやり方です。
利用頻度の多いリーズナブルなお店はお客さんに「お腹を満足して帰ってもらう」ことで再来店に繋がります。
たまにしか来れないお店は「腹8部で帰ってもらう」ことで、もう少し食べたいと思わせ、「また来よう」と思わせます。つまり単価がある程度高いお店は
お客さんのお腹を満たして帰らさせてはいけない。
ということになります。
最後にサプライズ
食事の1番最後に嬉しいサプライズがあると、とても良い印象で店を出る事になります。
帰り道で「また行きたいね!」「おいしかったね!」という会話になるようなサービスができればベスト。
すし大さんの場合、おまかせで握っていて、「最後にお好きなネタをおひとつご注文ください!」と言われます。
最初は今日出てきたネタの中からリピートできるのかと思ったのですが、お店にある全てのネタの中から選べるのです。店のポップを見渡せばアワビ、ノドグロ、車海老など高級ネタもあるじゃないですか。これはワクワクしますよね。
そして自分の好きなネタを自分で選んで締める。
すし大さんの最大の戦略がこれです。
お客さんに最高に満足してもらう。
お客さんに満足してもらう仕組みがしっかりと出来上がっているのですね。
この仕組みができているのでどの板前さんが握っても満足してもらえる。
そして他の競合店より人気が出る。
・高単価のお店はお客さんのお腹を満足させて帰らせない
・最高に満足してもらう仕組みを作っておく
まとめ
すし大さんが寿司屋激戦区の中で超人気店であり続ける理由は満足度。
満足させる仕組み出来上がっているのです。
・明確なターゲット設定をする
・ターゲットに合った料理を提供する
・腹8部で終わらす
・ポップを貼っておく
・最後に強力なサプライズがある
仕組み作りが経営者の1番重要な仕事なんだと改めて実感します。